2019/06/01 2021/12/07

社食サービスで社員食堂を運営すると税金の非課税対象になる?

社食サービスで社員食堂を運営すると税金の非課税対象になる?

会社に社員食堂を設置して社食サービスを導入する場合のほとんどは、必要な経費の一部は会社が負担します。

会社が負担した分は必要経費として認められる場合があり、トータルで支払う税金を節約することが可能です。

社食サービスの運営費用の負担割合と福利厚生費用とは?

社屋のスペースを利用して社員食堂を設置して社食サービスを導入する場合の運営費は、会社と利用する社員の双方が負担をする場合が一般的です。

社員食堂では一般の飲食店と比べて、安い料金で食事が提供されます。社員食堂の利用料金が安い理由は、場所代や調理器具・食器類・水道光熱費などは会社側が支払いをしているからです。

負担割合は会社ごとに違いがありますが、一般的な社員食堂であれば50%程度かそれ以上を利用者が支払います。一部の会社では、社食を運営するために必要な費用の100%を会社側が賄う場合があります。

会社が食事代の費用の全額または一部を負担するのは、健康的な昼食を提供することも福利厚生サービスとみなされるからです。会社側が支払う福利厚生費用については、一定の条件を満たすと必要経費として認められることで節税対策になります。

会社が食堂の運営費の一部または全額を負担する場合は、社員が間接的に費用を支払っていることになります。ここで注意すべき点は、食事代は社員が働いて稼いだ利益から支払われます。ただし福利厚生費用として認められるようにすれば、節約する税金の分だけお得です。

社食サービスが節税に有効な理由とは?

社食の費用とは、利用する社員が支払う食事代と会社側が福利厚生費として負担する分の合計額となります。当然のことですが、利用する社員が負担する費用は給料で支給されたお金です。

給料が支給されて実際に本人が使えるのは、所得税と住民税を納税した残りということになります。これに対して会社が負担する費用は福利厚生費に認められるので、節税ができます。

社員食堂を設置せずに従業員が飲食店などを利用して昼食を済ませば、全額分が所得税・住民税の課税対象になってしまいます。もしも、社食サービスを提供して会社側が福利厚生の一環として運用経費の半額を負担したとすれば、食事代の半分は非課税になることで節税対策ができます。

理論上は社食の運営費用を全て会社が負担して社員が無料で食事ができるようにすると、全額分が非課税になるはずです。残念ながら福利厚生費用に認められる範囲の上限額が決められているので、食事代の全額分の税金を非課税にすることはできません。

社員食堂の運営費を福利厚生費用と認めてもらうためには、一定の条件を満たす必要があります。

社食サービスで非課税が認められる条件とは?

社員食堂で会社が負担する分を福利厚生費用として認めてもらうためには、一定の条件を満たす必要があります。満たすべき条件とは、役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること・月々の会社負担額が税抜きで1人あたり3,500円以下であることの2点です。

少なくとも実際にかかった食事代の半額分は社員に支給された給料の中から支払いをしなければなりません。例えば、ある月の食事代の総額が5,000円で利用者が2,000円分の支払いをした(会社が3,000円を負担)とします。このような場合は、福利厚生費用として認められる上限は2,000円までです。

残りの1,000円は支給された給与の一部とみなされるので、所得税と住民税の課税対象となります。次に1ヶ月あたりの食事代が8,000円で、会社と社員が半分ずつ(各4,000円)支払った場合を考えます。

このケースだと、会社が負担した4,000円のうち3,500円分までが福利厚生費なので非課税になります。残りの500円については社員に支給された給与とみなされるので、所得税と住民税が課せられます。

会社が自前で食事を提供する場合の必要経費とは?

社員食堂を設置して運営費用を福利厚生サービスとして認めてもらう場合には、負担割合や一定金額の範囲内にしなければなりません。この場合に重要になるのは、食事代の計算方法です。

単に他の業者から仕入れた食材をそのまま提供するような場合であれば、計算方法は簡単です。ところが会社で調理をする場合には、人件費・必要な設備や器材のための費用・食材費・水道光熱費などがかかります。

自社の社員が調理や後片付け・メンテナンスなどの作業を全て行う場合には、食堂を運営するための人件費は食事代に含まれません。水道光熱費も食事代には含まれず、料理を作るために直接必要な費用のみです。このため、食材の購入費用で占められることになります。

福利厚生費用として非課税になる条件は、月々の負担額が3,500円以下であることが決められています。1日あたりに換算すると140円(25日間勤務の場合)で、社員の負担額を加えても280円と少ないように見えるかもしれません。

280円は調理前の食材の購入費用であり、原価率が3割の一般的な飲食店であれば650円で提供されている料理に相当します。

社食サービス業者に委託した場合の必要経費とは?

多くの会社は、社食サービスの業者に食材の仕入れや調理を委託しています。外部の業者に業務を委託する場合には、食事代は他から仕入れたものとして計算をします。このため、業者が提示した1食あたりの費用が食事代となります。

テナント代や水道光熱費・調理器具や食器類などは会社が用意するので、一般の飲食店よりもかなり安い料金になります。それでも外部の業者に委託した場合は人件費も食事代に含まれるので、会社が自前で調理スタッフを雇用して社員食堂を運営する場合よりも費用面で不利に見えるかもしれません。

業者に食材の仕入れや調理業務を委託すると、他の事業所で必要な食材をまとめて仕入れをしたり、メニューを共通化することによって大幅なコストダウンが可能です。そのため、自社で調理スタッフを用意して全て自前で食事を提供する場合よりも、低コストで食事が提供できるケースが多いです。

業者に委託することで、1食あたりの費用が明確になるというメリットがあります。単純に半額分を会社が負担するようにすれば、福利厚生サービスの費用として非課税対象にすることができます。

残業食の費用は福利厚生費用として認められる?

会社によっては、社員が夜遅くまで残業をする場合があります。業種によっては深夜業務の場合があり、夜食(残業食)を提供するケースが考えられます。

深夜勤務で軽食などを提供する場合には、福利厚生費用の一部として認められません。ただし深夜勤務で食事の提供が必要な場合には、会社の業務を遂行するために必要な必要経費に含めることができます。

仕出し弁当を利用したり、パンなどの軽食を外部の業者から購入する費用が必要経費に該当します。夜間に宿直勤務をする場合に無料で食事を提供しても、全額分が非課税となります。

残業食代が必要経費と認められるための明確な基準は設けられていませんが、常識の範囲内に限られます。ちなみに宿日直の場合は、食事料を含む宿直料として1回あたり4,000円まで非課税となります。

社員食堂は福利厚生サービスであり、会社の業務を遂行する上で必要な経費とは別の扱いになることを理解しておきましょう。残業や宿直勤務の際に提供する食事は福利厚生ではなく、必要経費です。

社食サービスを福利厚生に含める場合には、昼食のみであることに注意が必要です。

 

社員食堂の運営に必要な経費は会社の社員が負担していますが、福利厚生の一環として認められるようにすることで節税が可能です。ただし非課税扱いにするためには負担割合と食材費用の上限の範囲内に収めることが求められるため、社食サービスの業者に委託して1回分の食事代を明確にした方が便利です。

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