2019/05/15 2021/12/06

社食サービス業者が食事を安く提供できる仕組みとは

社食サービス業者が食事を安く提供できる仕組みとは

会社の社員食堂は、普通の飲食店を利用する場合と比べて格安価格で食事ができるという特徴があります。

社員食堂は社食サービスの業者が業務を委託する形で食事が提供されていますが、一般の飲食店よりも安い値段に設定されているのはいくつかの理由があります。

一般の飲食店で提供される原価やコストの違いとは?

一般的に飲食店を経営する場合、料理の原価は利用者が支払う料金に対して3割程度です。残りの7割は利益や従業員の給料の他に、店のテナント料・食器や調理器具などの設備費・椅子やテーブルなどの内装費用・水道光熱費などで占められています。

フランチャイズ店であれば、本部に支払うフランチャイズ料も飲食代に上乗せされます。一般の飲食店の料金には、食材以外の費用の占める割合が非常に大きいという特徴があります。

基本的に食材費については、一般の飲食店と社員食堂はほとんど同じです。食材費以外の部分については、飲食店と社員食堂では経費に大きな違いがあります。

社食であっても、調理をするのに使用する水道光熱費や場所などの諸経費がかかります。メニューの数を減らしたり余計なサービスをカットすることで、人件費を抑制することは可能です。

それでも食事を提供するためにどうしても必要な費用は、誰かが負担しなければなりません。社食では食材費以外の費用を食堂を利用する社員が負担しなくても済む仕組みがあるので、一般のお店と比べて安い料金で利用ができるのです。

社食サービスで使用される調理器具・場所代とは?

社員食堂は会社が自前で食事を提供するか、外部の社食サービスに業務委託を委託する形で運営されます。いずれの場合も、調理に必要な器具や食器類などは全て会社が用意したものです。

飲食店であれば調理器具や食器の購入費用も食事代に上乗せされてしまいますが、社員食堂の料金にはこれらの費用が含まれていません。これに加えて、調理場や食事をするために使用されるスペースに必要な費用も全て会社が負担します。

社屋の一部を調理場や食事スペースとして使用されるので、一般の飲食店のようにテナント料がかかりません。ちなみに便利な場所にある商業ビル内の飲食店を利用すると、料金のかなりの部分をテナント料が占められている場合があります。

一般的な飲食店が負担しなければならない場所代の割合は非常に大きく、テナント料が不要というだけでも多額の経費が節約できます。社員食堂の利用料金にはテナント料が含まれていませんが、会社は社屋を維持したり固定資産税を負担しなければなりません。

社屋や調理器具を用意したり維持するための経費は、間接的に社員が負担していることになります。

社食サービスと飲食店のサービス内容の違いとは?

一般の飲食店を利用すると、お店のスタッフが注文を聞きに来たり飲み物を持ってきてくれます。オーダーした食事は座席まで運んでくれますし、食事が済んだ後の後片付けもお店のスタッフが行います。

これに対してほとんどの社員食堂では、セルフサービスが一般的でフルサービスではありません。利用者が自分で食券を購入したり、調理場の窓口で希望するメニューを伝える必要があります。

調理された料理は自分でトレーを使用して席に持ち運ぶ必要がありますし、お茶や水も自分で汲んできます。食事後の食器やトレーは、利用者が自分で専用の返却口まで運んで返却をしなければなりません。

一般の飲食店と比べると、社員食堂はサービスの内容が簡略化されているという特徴があります。セルフサービスにすることによってサービスを提供するための人件費を削減することができるので、結果として食事の料金を安くすることができます。

ちなみにファストフード店や大学などの学生食堂が安い理由についても、サービスを簡略化させることで人件費を抑制している仕組みがあるからです。

水道・電気・ガス代は誰が負担している?

食事を用意するためには、調理や食器の洗浄のために水道・電気・ガスを使用します。一般の飲食店で食事をする場合には、これらの費用も飲食代に含まれています。

これに対して社員食堂では、水道・ガス・電気代は会社側がまとめて負担しています。食事代には水道光熱費が含まれていないケースがほとんどなので、一般の飲食店よりも経費が少なくなります。

注意すべき点は、社食サービスで使用される水道光熱費は会社で働いている社員が間接的に負担をしていることです。これらの経費は飲食代には含まれていませんが、会社の必要経費として支払われることで受け取れる給料が少なくなっていることになります。

それでもある程度の規模の事業所であれば、電力会社と個別に契約をすることで一般家庭や小規模の飲食店よりも電気代が安くなります。ガスについても同様で、会社が大量にガスを使用する契約を結んでいる場合には一般家庭や小規模な店舗よりもガス代が安い場合が多いです。

社員食堂で使用される水道光熱費は社員が間接的に負担しているとはいえ、実際にかかっている費用は飲食店よりも少ない場合が多いです。

無料で提供される社食の仕組みとは?

一部の会社は、社員に対して無料で食事が提供されています。一部の費用を負担する場合でも、半分程度を会社側が負担することで格安料金で食事ができるケースがあります。

会社が社食の料金の全額または一部を負担するのには、それなりの理由が存在します。社員食堂は保養所や各種の有給休暇と同じように、社員に対する福利厚生サービスの一部とみなされる場合があります。

福利厚生サービスの一環として、社食の費用を社員が負担しなくても済む仕組みが存在します。このため、社員食堂では格安価格または無料で食事ができるのです。

飲食店と社食の食材ロス率の違いとは?

一般的に飲食店では、実際に使用されるよりも多くの食材を仕入れています。使用されずに残った食品は廃棄処分されますが、余分に仕入れたり処分をするための費用も必要経費として飲食代に含まれます。

社食サービスでも一定量の食品が余って廃棄処分されますが、一般の飲食店よりも食材ロス率が低いという特徴があります。一般的な飲食店と比べて社員食堂のメニューの種類は少なめなので、食材ロス率が低くなります。

これに加えて利用者の人数が一定で、飲食店のように客の数が大きく変動しにくい場合が多いです。食堂の利用者数が一定であれば余分な食材を仕入れる必要がないので、廃棄する量が少なくて済みます。

社食サービスは消費する食品の量がほぼ一定なので無駄が少ないという特徴があり、普通の飲食店と比べると仕入れのための経費が節約できます。社員食堂では食事が提供されるのは昼休み中の限られた時間帯で、営業時間が短いという特徴もあります。

長時間にわたり開店し続けなければならない一般の飲食店と比べると、営業時間が短い社員食堂の人件費は少なくて済みます。社食サービスが一般の飲食店よりも安くなる主な理由は、必要経費が少なくて済むことと費用の全額を負担する必要がないという事情が関係しています。

間接的に社員が経費の一部を負担しているため、社員食堂を利用しなければ損をしてしまうことになります。

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