2019/04/15 2021/12/07

社食とは?サービスの検討時には社員食堂の運営方式について知っておこう

社食とは?サービスの検討時には社員食堂の運営方式について知っておこう

社食サービスは従業員満足度の向上に資するものとして注目を集めており、導入を検討する企業も増加傾向にあります。

さまざまな運営方式があるため、導入に際しては十分比較検討のうえ、それぞれ最適な方式を採用することが大切です。

社食サービスとはどのようなものか?

社食サービスとは、企業等が従業員に対して食事を提供することをいいます。食事手当という名目で給与と一緒に現金で支給される場合もありますが、一般的には現物で支給されるものを指します。

具体的には昼休みに昼食を提供するというのが最も多く、1日1食が基本です。勤務状況に合わせて、残業時に夕食を、就業前に朝食を提供することもできます。

24時間稼働の生産ラインを持つ工場など交替制勤務の職場の中には、いつでも好きな時に利用できる体制を整えているところもあります。社食サービスの導入には、従業員の食費にかかる経済的負担を軽減し、可処分所得を増やすという利点があります。

また、栄養面などに十分配慮したメニューを提供すれば、自炊が困難な独身者等を中心に従業員の健康管理にも役立ちます。加えて、食堂で一堂に会して食事するというスタイルは従業員間のコミュニケーションを活性化し、職場への愛着度を高めるという効果も期待できます。

こうしたさまざまな観点から、社食サービスの導入は従業員満足度の向上を目指す企業等に多くのメリットをもたらすものであると言うことができます。

直営かアウトソーシングかを決める

実際に社食サービスを導入しようとする場合、その運営方式にはさまざまなバリエーションがあります。まず運営主体に着目すると、直営タイプと外部委託タイプの2種類に大別できます。

このうち直営方式は、導入企業等が調理士や配ぜん人などのスタッフを直接雇用し、社内事業の一環として運営するというものです。予算や人員配置、メニューの考案といった運営面全般にわたって直接関与するので、非常にコントロールしやすい手法であると言えます。

ただ、言うまでもありませんがノウハウを自ら持っていなくてはなりませんし、食材や食器の調達などもすべて自前で行う必要があります。

一方、外部委託方式では、業務の一部または全部を外部の専門事業者に委託します。プロに一任することでノウハウがなくても比較的簡単に導入できることから、高い需要があります。導入企業側がメニューや価格設定などについてどの程度イニシアチブを発揮できるかは、交渉次第となります。

なお、この中間的な第三のパターンとして、社食サービス専門の関連会社を作って業務を委託するというやり方もあります。これを準直営方式と言います。

一律メニューにするか?自由に選べるようにするか?

次に、具体的な食事の提供形態についてですが、これには主に定食・カフェテリア・弁当などがあります。

まず定食方式は、全利用者に単一のメニューを提供するというものです。これは工場の食堂などによく見られます。

文字通り1種類しかない場合もあれば、日替わりメニュー1種に丼物や麺類などの一品料理が何種類か用意されている場合もあります。もちろん、選択可能な複数の定食メニューを用意することもできます。

次のカフェテリア方式は、主菜・副菜・デザートなどをそれぞれ複数種類あらかじめ用意しておき、利用者が自由に選んで組み合わせることができるというものです。これも定食方式と同様、一品料理を別に用意しておく場合とそうでない場合があります。

弁当方式については、食堂で利用者が弁当を食べる形式、自席に持ち帰って食べる形式、そのどちらかを選択できる形式など、いくつかのやり方が考えられます。また、これ以外にも、ショッピングモールなどに見られるフードコートのように、出店のような形で複数の事業者に食事を提供させる方式などもあります。

費用は誰がどの程度負担するか?

一方、費用の負担方式については、雇用者側と従業員側が支払うべき割合によって3種類に分かれます。すなわち、全額を雇用者が持つ場合、全額を従業員が支払う場合、両者でそれぞれ按分する場合の3つです。

従業員側から見た場合、このうちもっとも経済的メリットが高いのは、言うまでもなく全額を雇用者側が持ってくれるというものです。ただ、メニューの数を絞り込むことで食材の仕入れや調理の手間を効率化できる、食堂の内装にそれほど費用をかける必要がないといった性質があることから、社食サービスは市中の飲食店などに比べると割安な食事を提供できます。

そのため、仮に従業員が費用を全額負担するとしても、それなりの経済的メリットはもたらされます。両者が共同で負担する場合においては、その割合はケースバイケースとなります。単純に1食当たりのコストを算出してそれぞれ何パーセントずつ出し合うという具合に決めてもいいですし、食材費のみを従業員が払い、光熱費や什器費、食堂スペースの維持費は雇用者側が負担するといった具合に、費目ごとに負担者を定めることも可能です。

支払い方式のいろいろ

費用の負担割合が決まったら、今度はそれをどのように精算するかを考える必要がありますが、これについても複数の方式があります。この場合はまず、現金払いと後日精算の2通りに分かれます。

これらは、従業員が一部または全部の費用を負担する場合に必要です。現金払い方式は、基本的に一般の飲食店などで採用されているものと同じです。すなわち、食事後にレジで代金を支払うか、事前に食券を購入して食事と引き換えるかのいずれかです。

電子マネーなどのキャッシュレス決済を導入することもできますが、基本的なやり方は同じです。一方、後日精算方式は毎日の利用状況を記録しておき、給与から控除したり、所定の期日に一括して徴収したりするというものです。

簡単なやり方としては、食堂にホワイトボードを設置して記名させる、名札を用意しておいてそれを裏返したり回収箱に投入させる、などがあります。

社員証が磁気カードやICカード化されていれば、食堂内に設置したカードリーダーに通して電磁的に記録するという方式も導入可能です。この他、回数券を購入させる方式もあります。

運営責任の所在を決めることも重要

社食サービスのさまざまな運営方式は以上見てきたとおりですが、最後にもう1つ、運営状況をどのように管理していくかという点についても、いくつかのやり方があるので導入時にはあらかじめ考えておく必要があります。

まず基本となるのは、雇用者側が全面的に管理を行うのか、従業員側と共同で管理していくかを決めるということです。後者の場合は、雇用者と従業員代表をメンバーとした管理運営委員会といった組織を立ち上げ、メニューの選定等を行います。

特に雇用者と従業員が費用を折半負担している場合は、対等の当事者として運営に当たっていくというのが一般的です。外部委託方式の場合であっても、事業者の選定作業は共同で行うこととなります。

また、雇用者側が管理する場合でも、メニューの感想やリクエストなど、利用者側からのフィードバックを得られるような何らかのシステムを設けておけば、より満足度の高いサービスの実現に役立ちます。特に外国人従業員が多く働く職場では、食材の民族的・宗教的タブー等について当事者の声を聞く機会を持つことは重要です。

 

衣食住の1つである食事は人間の生活に欠かせないものであるだけに、その満足度は日々の生活の満足度に大きな影響を及ぼします。そのため、良質な社食サービスの提供は、心理面においても高い効果が期待できる福利厚生事業であると言えます。

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